#32 持たない暮らし:ラグもマットも手放したら、掃除と心が軽くなった話

断捨離

この記事からわかること

・ラグやカーペットを手放すメリットとその工夫

「ラグもマットもない暮らし」って想像できますか?

「えっ、ラグもマットも使ってないの?」と、初めて私の部屋を見た友人は驚いたように言いました。

確かに、多くの人にとって、ラグやマットは“あって当たり前”の存在。玄関マット、バスマット、キッチンマット、トイレマット、リビングのラグなど、生活の中に当たり前のように敷かれています。
私自身も、ミニマリズムに出会うまではそう思っていて、部屋の中にモコモコの毛が長めのラグを置いていました。

何ヶ月か経ってラグが汚れてきた時に、ラグの掃除をどうすればいいのかがわからなかったことがきっかけで「ラグって本当に必要?」と疑問視するようになりました。

使うたびに洗うのが面倒。
掃除機をかけるたびにどかさなきゃいけない。
毛が絡む。
ホコリがたまる。
季節ごとに模様替えもしなきゃ。

もしかして、ラグやマットって「快適さを生む」どころか「管理の負担」になっていない?

そんな疑問から始まった“持たない選択”が、今の私の暮らしをつくっています。

このブログでは、私がラグやマットを持たない理由と、そこから得られた気づき、そして暮らしのヒントをお伝えしていきます。

なぜラグを“敷く”ことが当たり前なのか?

日本におけるカーペットやラグの導入は、明治時代以降の欧化政策とともに始まったとされています。もともと日本の伝統的な住まいは、畳を基本とする床座の文化であり、座布団や敷物はあっても、西洋式のラグやカーペットのように「装飾性」と「断熱性」を兼ねた敷物は一般的ではありませんでした。しかし、明治期に入り洋館の建設が進むと、西洋式の家具やインテリアが取り入れられるようになり、ラグやカーペットもその一環として輸入されるようになります。
戦後の高度経済成長期には、洋間の設置が進み、応接室やリビングなどにラグを敷くスタイルが家庭内にも定着していきました。

つまり、日本におけるラグやカーペットの文化は「外から来たもの」であり、住まいの洋風化の象徴ともいえる存在です。
そういった背景から今日までラグやカーペットを敷く文化が定着しています。

「玄関にマットを置くのはマナー」「バスマットがないとびしょびしょになる」「ラグがないと寒そう」
——こうした考え方も一般的になり、家庭での教育やインテリア雑誌、テレビCMなどを通じて、知らず知らずのうちに私たちの意識に刷り込まれています。いわば、文化的な“常識”になっているんですね。

けれど、海外に目を向けると意外とそうでもありません。
たとえば、ドイツや北欧の家庭では、玄関にマットを置かない家庭も多いですし、リビングの床がむき出しというのもよくあるスタイル。
むしろ「床が見える=清潔で整っている」という感覚が根付いているようです。

そして、私たちが「当たり前」だと思っているものの多くは、実は必ずしも必要ではないと気づき始めました。掃除が面倒なのに、なぜ毎回洗ったり、ほこりを払ったりしているのか。
本当に必要な快適さを生むものなのか、それとも単なる“慣習”なのか。
——この視点の転換が、“敷かない”選択の第一歩になりました。

ラグ・マットを手放すメリット

ラグやマットは、確かに見た目にはおしゃれで、空間を柔らかく演出してくれる存在です。
でも、実際に使っていて感じたのは「とにかく手間がかかる」というのも事実。掃除機をかけるとき、わざわざどかす必要があったり、バスマットなんて、毎日洗わないと湿気がこもってカビの原因になったりします。キッチンマットには油はねや食べこぼしが染みつくこともあるし、ラグの真ん中に赤いジュースやワインをこぼした日にはもう使う気が起きないかもしれません。

そうした“お世話”に疲れてしまった人は、この機会に手放す決断をしてもいいと思います。

私は最初に玄関マットとラグを手放しました。手放して1秒で、掃除がすごく楽になったことを実感。
住んでいる家では脱衣所がないタイプの家だったので、バスマットを敷いていたのですが、これも撤去。お風呂上がりはバスタオルで足を拭いて出るだけで十分でした。
その後、部屋のラグも順番に外し、気づけば我が家からマット類は姿を消しました。

驚いたのは、なくてもまったく困らないということ。
むしろ、掃除がしやすく、ホコリの溜まりも目に見えて減りました。
モノを減らすことが、家事の負担やストレスを軽くする——それを実感した瞬間でした。

手放して気づいた“本当の快適さ”

マットを手放してまず感じたのは、空間が「広く」「静か」になったこと。
床の見える面積が増えたことで、部屋全体がすっきりして広々と感じられるようになりました。特にフローリングの木目が見えることで、空間に自然な温かみが出て、逆にラグがあったときよりも居心地が良くなりました。

もちろん、掃除のハードルがぐんと下がって楽に。以前は「マットを洗わなきゃ…」と時間が取れる週末に予定を入れていたのに、今はその手間がゼロ。掃除機もスイスイかけられ、クイックルワイパーもストレスフリー。家の中に「掃除の邪魔をするもの」がなくなっただけで、こんなに気持ちよく暮らせるなんて思ってもいませんでした。

そして何より、視覚的なノイズが減ったことも大きいです。
ごちゃごちゃした色や柄がなくなり、自然光が反射する床面が増えると、気分が軽くなりました。
これは「持たない快適さ」ならではの効果かもしれません。

「でも冷たくないの?」よくある質問とその工夫

マットを手放したと話すと、必ずと言っていいほど聞かれるのが「冬、冷たくないの?」という声。
確かに冬場のフローリングは冷たいです。でも、解決策はあります。
例えば、ルームシューズやスリッパを履けば十分。厚手の靴下でも快適に過ごせます。

バスマットがない場合は、お風呂の脱衣所に吸水性の高いタオルを1枚用意しておけば事足ります。
洗濯も楽だし、乾きも早い。しかも布なので折りたたんで収納もできます。

小さなお子さんがいる家庭やペットを飼っている家庭では、安全面や衛生面の観点から、部分的にマットを使うのも一つの選択肢です。例えば、プレイマットや食事スペースの下だけに小さめのマットを敷くなど、「必要な場所にだけ敷く」という柔軟なアプローチもOK。

「完全にゼロにしなければいけない」わけではなく、「本当に必要な場面だけ使う」ことで、暮らしの自由度がぐんと上がります。

ラグ・マットを手放したい人へのヒント

これからラグやマットを手放してみたいと思う人には、「まずは1枚減らすことから」始めるのがおすすめです。いきなり全撤去しようとするとハードルが高く感じてしまいますし、生活に支障が出てしまう可能性もあります。

たとえば、玄関マットだけ外してみて様子を見る。バスマットを布製のタオルに替えてみる。そういった小さなチャレンジが、結果的に大きな気づきにつながるはずです。

また、「本当に必要な機能は何か?」を見極めることも大切です。
たとえば、冷えが気になる人はルームシューズや床暖房で対応する、キッチンの水はねが気になるなら吸水シートなどの使い捨てアイテムを活用するなど、ミニマルで実用的な選択肢は意外とたくさんあります。

“持たない”ことは、我慢ではなく「選択の自由」を得ること。
快適な暮らしを自分の手でデザインする第一歩になるかもしれません。

まとめ

ラグやマットを持たない暮らしは、始めてみると想像以上に快適で、何より「家事のストレスが減る」という大きなメリットがありました。そしてそれは、単にモノを減らすというよりも、「自分にとって本当に必要な快適さとは何か?」を見直す機会でもありました。

“あるのが当たり前”だったモノを手放してみると、そこに広がる空間や時間、そして心の余白に驚くはずです。今回のテーマが、あなた自身の暮らしを見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。

タイトルとURLをコピーしました