無印良品が描く「未来の家」とは?
「電気も水道もガスも使わない家」
と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
不便そう、原始的、無理すぎ…。でも実は今、その概念が「未来の家」として注目を集めています。
その最前線に立っているのが、なんとあの無印良品なんです。
無印良品といえば、シンプルで機能的なデザイン、余白を活かした空間づくり、そして“ちょうど良い暮らし”を提案するブランドとして知られています。そんな無印が手がけたのが、「インフラゼロハウス」。これは、電気・ガス・水道といった社会インフラに頼らず、それでも快適に暮らすことを目指した住まいなんです。
このプロジェクトは、日本各地で加速する過疎化や、環境負荷の少ないライフスタイルへのニーズ、そして大規模災害などに備えたレジリエンス強化といった背景から生まれました。サステナビリティが叫ばれる今、都市の便利さに頼らずとも「暮らし」を成り立たせる挑戦として、大きな意義を持っています。
私はニュース動画(上記Youtube)を見てこの家を初めて知ったのですが、「無印らしいミニマリズムが、ここまで行き着いたんだ」と素直に感動しました。
そしてどこかワクワクもしました。便利な時代に生きているからこそ、あえて手放してみる。それは不便ではなく、“本質を見直す”豊かな選択なのかもしれません。
そんな未来的な家を見つけたので、今回はインフラゼロハウスを紹介したいと思います。
インフラゼロハウスの概要|電気・ガス・水道なしの暮らし
「インフラゼロ」という言葉を聞くと、なにもかも自分でまかなう大変な生活を想像する方も多いと思います。でも実際には、テクノロジーと自然の仕組みを上手に掛け合わせて、意外なほど快適な暮らしが実現されているのです。
この家の最大の特徴は、インフラといわれる電気ガス水道を自給自足し、その月々の料金もかからない家になっていること。
まず、電気は太陽光発電でまかなっています。屋根にはソーラーパネルが設置され、日中に発電した電力を蓄電池にためて夜間にも使えるようになっています。ガスを使わず、調理や暖房には電気を使用。つまりオール電化の家になっています。IHコンロやエアコンも、効率よく電力を活用できる仕様です。
水は屋根に降った雨水をろ過して生活用水に。さらに、浄化槽の仕組みを取り入れて、一定量の水を循環させています。一番気になるトイレはバイオトイレになっていて、水を使わずに処理するというエコな工夫も。
「バイオトイレってなに?」と思った人も多いですが、(動画でも紹介されている通り)大鋸屑を便器の中に設置したトイレで、した後のモノや使用ずみのトイレットペーパーはその大鋸屑の中で分解され、最後は肥料になるという仕組みになっています。なんと生ごみも分解できて、その大鋸屑は約1年間取り替え不要とのこと。使用済みの大鋸屑は肥料としても再利用できるという優れものです。
バイオトイレ、本当にニオイがなくて快適なものなのか、ちょっと興味が湧きました。
最初は「なんか我慢する暮らし」なのかなと疑っていたのですが、むしろ自然の力や再生可能エネルギーを活かして、効率的で地球にも優しい暮らしが実現している家になっていました。
暮らしの快適性と課題
ここまで良いことばかり書いてきましたが、実際に暮らすメリットだけではなくデメリットも調べてみました。
🔶メリット
断熱性の高い建材や、風の通り道を計算した設計によって、夏は涼しく冬は暖かい工夫がされている。調理や冷暖房は電力を使うことになるが、その電力は太陽光から供給されているため、化石燃料に頼らない安心感と月々の費用がかからない面もある。
🔷デメリット
天候が悪い日が続くと電力が不足するリスクもあり、電気を節約する知恵や、蓄電容量の管理が必要。また、家の設備がシンプルなぶん、最初は使い方に慣れるまで時間がかかるのも難点。
実際にモデルハウスを見学した方の声では、「静かで自然と近い暮らしが心地よかった」という声がある一方で、「スマホの充電が気になった」「水の使用量を意識するようになった」という“現代人あるある”な戸惑いもありました。
それでも、インフラが遮断されても暮らせるという安心感や、自然と共に生きる体験は、都市生活では得られない豊かさがあるように感じます。
無印良品らしい“シンプルな美学”が生きるデザイン
さすが無印良品、と唸らされたのがやはり家のデザインです。
パッと見た印象はとてもシンプルで、無駄のない美しさ。自然素材を活かした外観、どこか北欧を思わせるミニマルな空間、そして余白を大切にした間取り。これこそ“無印らしさ”の真骨頂だと感じました。
インフラゼロという挑戦的なコンセプトに対して、派手さは排除し、暮らしの本質にフォーカスを当てたデザイン。窓から入る光を活かし、照明に頼らなくても明るく過ごせる工夫も素敵です。
また、建材には地元の木材や自然由来の素材が多く使われており、触れるとどこかホッとする温もりがあります。こうした素材選びからも、「自然と共に生きる家」を体現しているのが伝わってきます。
さらに、室内の家具や収納まで無印製品で統一されていること。
余白のある空間に、必要最小限の機能的なアイテムが配置され、暮らしの導線まで計算されているんです。まさに、住まいそのものが“プロダクト”のような完成度。無印好きにはたまらない至高の家になりそうです。
ミニマリスト視点で見たインフラゼロハウスの魅力
私自身、ミニマリストとしての暮らしを意識していますが、このインフラゼロハウスはまさに「モノの最小化」だけでなく、「エネルギーや資源の最小化」という視点でも、究極のミニマルライフだなと感じました。
家の中には、必要最低限の機能と、心地よさを両立する工夫が詰まっています。無駄な装飾や家電はなく、空間に余白があることで、逆に豊かさを感じる。まるで“暮らしの禅”のような空気感がありました。
また、暮らし方そのものが「選ぶ」という行為の連続なんです。
電力をどう使うか、水をどう循環させるか、どのタイミングで料理や洗濯をするか。選ぶ行為が苦手だ、難しいという人にとっては苦痛かもしれませんが、ある意味、こういった選択の積み重ねは、自分の生活を見直したり、考え方を変えるきっかけにもなります。
それは、ミニマリストが「何を手放すか」「何を大切にするか」を考えるプロセスと、とてもよく似ています。ものを減らすことで得られる心のゆとりと同じように、エネルギーを意識することで見えてくる、新しい価値観。
この家に住むことで、モノもエネルギーも、人との関わりも、「ちょうど良い距離感」を育てられる気がします。シンプルでいて、奥深い。そんな暮らしを無印良品は提案してくれています。
おわりに
いかがでしたか。
「インフラゼロ」の家は、ただの不便さの挑戦ではなく、自分の暮らしを自分で見直すチャンスかもしれません。すべてを取り入れる必要はないと思いますが、電力や水、モノとの付き合い方を一度立ち止まって考えてみるきっかけになりました。
無印良品が提示する未来の家は、これからの時代に必要な「豊かさの再定義」を静かに、でも力強く私たちに伝えてくれているように思います。
気になる方は公式HPをチェックしてみてください。