#61 アメリカZ世代が選ぶ“買わない幸せ”|消費社会への逆行ムーブメントとは

ミニマリズム

私たちは気づかぬうちに、モノを買い続けることが「当たり前」になった社会で生きています。

SNSで流れてくるAmazonセール・ブラックフライデーといったセール情報、常に最新アイテムが載った広告やインフルエンサーの投稿を見るたびに「欲しい」という気持ちが刺激され、つい消費を繰り返してしまうということ、多くないですか?

しかし今、アメリカのZ世代の間で、そんな消費文化に逆行する動きが注目されているんです。
買わないこと、持たないことを選ぶ若者たちが増えています。

今回は、アメリカZ世代が「買わない幸せ」を求める理由や背景、具体的にどんなムーブメントが広がっているのかをお伝えするので、それを知ることで私たち自身も、モノに振り回されない生き方を考えるヒントが見つけていきましょう。

Z世代が抱える「消費疲れ」

Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代のこと。2025年現在では、10代後半から20代後半の人々が該当します。

デジタルネイティブである彼らは、幼い頃からSNSやインターネットに囲まれて育ってきました。そのため、情報へのアクセスが早く、流行やトレンドの変化を敏感に感じ取ります。

SNSには、常に「おすすめ商品」や「買ってよかったもの」といった情報が溢れています。インフルエンサーが紹介するアイテムは瞬く間に拡散し、フォロワーたちがこぞって同じものを購入する現象も珍しくありません。Z世代はこうした環境の中で、「周りと同じでいなければ」という無意識のプレッシャーにさらされています。

しかし、いくら買い物をしても、心の満足感は長くは続きません。買ってすぐは高揚感があっても、時間が経つとまた新しいものが欲しくなる…。これを繰り返すうちに、疲れや虚しさを感じる若者が増えてきています。

実際、アメリカの調査会社デロイトのレポート(2024年)によると、Z世代の約65%が「物を所有するよりも経験にお金を使いたい」と回答しています。
物質的な豊かさよりも、自分の内面を満たすことに価値を置く傾向が強まっているのがわかりますね。
こうした背景が、「買わない幸せ」という逆行ムーブメントへと繋がっています

買わない幸せを選ぶZ世代|注目される3つのムーブメント

ムーブメント① ミニマリズム

「ミニマリズム」は、持ち物を減らすことで自分にとって本当に大切なものに集中するライフスタイルです。アメリカZ世代の間でも、過剰な消費から距離を置き、自分にとって必要なものだけを選ぶ生き方が人気を集めています。

SNSでも、シンプルな部屋の写真や「持ち物はこれだけ」といった投稿が注目を集めており、物を減らすことで心の平穏を手に入れる若者が増えています。彼らは「モノに縛られない自由さ」にこそ、真の豊かさがあると感じているのです。


ムーブメント② No Buy運動

「No Buy運動」とは、その名の通り一定期間、物を一切買わない挑戦のことです。
アメリカのZ世代の中には、SNS上で「#NoBuyYear」や「#NoBuyMonth」といったハッシュタグを使い、買わない生活をシェアする人が増えています。

彼らは買わないことで、自分の消費習慣を客観的に見直し、「本当に必要なものは何か」を考え直しています。また、お金の節約だけでなく、環境保護や資源問題への意識も高まり、社会的なムーブメントとして広がりをみせています。


ムーブメント③ サステナブル志向

Z世代の消費行動で欠かせないのが「サステナブル志向」です。
大量生産・大量消費への疑問から、古着を買う、リサイクル品を選ぶなど、環境に配慮した消費が注目されています。

アメリカでは「ThredUP」や「Poshmark」など、古着や中古品を売買するプラットフォームが大きく成長しており、Z世代が積極的に利用しています。モノの価値を使い捨てにせず、次へ繋げるという発想が、まさに消費に逆行する新たな価値観を象徴していると言えます。

Z世代流「消費に逆行する生活」の実例

SNSでは、実際に「買わない生活」を送るZ世代のリアルな声が数多くシェアされています。

例えば、ある20代女性は「1年間服を買わない」と決め、その様子をTikTokで発信しています。最初は不安だったものの、手持ちの服を工夫して着回すうちに、自分のスタイルがより明確になり「むしろ自由を感じるようになった」と話しています。

また別の男性は、生活用品を中古ショップやフリーマーケットで購入する様子をYouTubeで公開し、「新品を買わなくても生活に何も困らない」と語っています。むしろ「安くてユニークなものが手に入るし、環境にも優しい」と語っています。

Z世代の多くは、ただ節約を目的にしているわけではありません。
自分の価値観を大切にし、環境への影響や社会問題への意識も同時に高めています。
こうした姿勢は、これからの消費文化を大きく変えていくと思います。

私たちが学べること|日本でもできる小さな一歩

アメリカのZ世代が示す「買わない幸せ」は、決して特別なことではありません。
私たちの日常にも、少しの意識で取り入れられるヒントがたくさんあります。

例えば以下のようなことから始めてみるのもおすすめです。

  • 一週間「No Buy Day」を設ける
  • 新しいものを買う前に「今持っているもので代用できないか」と考える
  • メルカリやリサイクルショップで中古品を探す
  • SNSでミニマリストやサステナブル系のアカウントをフォローして刺激をもらう
  • 不要なモノを手放し、心の余白を作る

日本でも、ミニマリズムやサステナブル志向は少しずつ広がっています。
ただ「流行だから」と真似するのではなく、自分にとって心地よい範囲で実践することが大切です。

「買わない幸せ」は、物を減らすだけでなく、自分の内面を見つめ直すきっかけになります。

何を持ち、何を手放すのか。

その選択の積み重ねが、より自分らしく生きる道へとつながります。

まとめ

アメリカZ世代の間で広がる「買わない幸せ」は、単なる節約術ではなく、過剰な消費文化に疑問を持って、自分自身や地球に優しい選択をする姿勢そのものが、大きなムーブメントとなっています。

私たちもまた、モノに囲まれた生活に疲れを感じることがあります。
そんなときこそ、Z世代の「消費に逆行する生き方」からヒントを得てみてください。

無理にすべてを手放す必要はないです。
でも、少しだけ立ち止まり、「本当に必要か」「幸せを感じるか」と問いかけることで、暮らしはもっと軽やかになるはず。

あなたも「買わない幸せ」を、今日から小さく始めてみては?

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