#40 タイニーハウスで始める“自分らしい暮らし”|山梨の自然と生きる選択

生活

はじめに:小さな家が気になるあなたへ

「広い家より、自分にちょうどいい家で暮らしたい」

そう感じたことはありませんか?
近年、都会の喧騒やモノに囲まれた暮らしに少し疲れて、よりシンプルで心地よいライフスタイルを求める人が増えています。そんな中で注目を集めているのが、“タイニーハウス”という選択肢です。

タイニーハウスとは、一般的には10〜30平米ほどの小さな住宅のこと
必要最小限の空間に、自分らしさや温もりを詰め込んだ「生き方そのもの」を表す住まいです。広くはないけれど、だからこそ本当に必要なものだけに囲まれて暮らす心地よさがあります。

この記事では、山梨県という自然豊かな土地で実際にタイニーハウスを選び、自分らしい暮らしをはじめた人たちやその暮らしを推進する企業の声を交えながら、「なぜ今、小さな家が支持されているのか」「自分に合う暮らし方とは何か」を一緒に見つけていきたいと思います。

「小さく暮らす」ことは、「縮小」ではなく「本質への回帰」。
あなたらしい豊かさのヒントが、きっと見つかるはずです。

山梨県で広がる「タイニーハウスムーブメント」

東京から車で2時間ほどの距離にある山梨県。
雄大な富士山のふもとに広がるこの地では、近年タイニーハウスの魅力に惹かれて移住する人が増えています。理由はさまざまですが、「自然に寄り添いながら暮らしたい」「家にお金をかけすぎず、自分の時間を大切にしたい」という価値観が背景にあります。

特に人気なのは、北杜市や富士河口湖町など、自然との距離が近いエリア。
山梨県は地価が比較的安く、都心からのアクセスも良いため、“プチ移住”や二拠点生活のスタート地としても注目されています。

さらに、山梨にはタイニーハウスの施工を得意とする工務店や、DIYで建てるためのサポート体制が整っている点もポイント。地元材を使った温もりある家づくりや、土地の気候に合った設計ノウハウなど、独自の魅力があります。

暮らしの選択肢として「タイニーハウス」というスタイルが地域の中で根づきはじめている今、山梨は“小さく豊かに暮らす”ためのヒントがたくさん詰まった場所なのです。

タイニーハウス、その選択と現実

「実際の生活はどうなっているの?」

正直、これが一番聞きたいところ。

タイニーハウスという言葉から、“小さな家”というイメージは湧いても、「本当にそこで暮らせるの?」「快適さのイメージが湧かない」という疑問を抱く人は多いかもしれません。
ここでは、実際のタイニーハウスの暮らし方を、基本仕様とともにご紹介します。

■部屋数と間取り

多くのタイニーハウスは、1LDKまたはワンルーム+ロフトというコンパクトな間取り。
仕切りを設けず、空間を広く見せる工夫がされています。リビング・キッチン・寝室が一体になっている設計が主流で、ロフト部分を寝室にすることで床面積を最大限に活かします。

■部屋の大きさ

建築面積はおおよそ10〜20㎡前後。日本の6畳〜10畳程度の空間が一戸建てとして成立しています。(前の記事で紹介した鴨長明の方丈の庵とほぼ同じ大きさですね。)

狭さはありますが、天井の高さや窓の位置、自然光の取り入れ方など、設計によって広がりを感じるつくりが特徴です。

■家の素材

木材を中心とした自然素材を使うケースが多く、断熱性・通気性にも配慮されています。特に山梨のような四季のはっきりした地域では、無垢材や自然塗料を使用することで、呼吸する家としての心地よさが追求されています。

■移動式か固定式か

タイニーハウスは大きく分けて、移動式(トレーラーハウス型)と固定式(建築物として建てる)があります。山梨では自然環境に定住する目的が多いため、固定式を選ぶ人が多い傾向にありますが、土地の法規制や税制面を考慮して移動式を選ぶケースもあります。

■生活インフラと水回り

もっとも気になるのがトイレやキッチンなどの水回り。最近のタイニーハウスは上下水道・電気・ガスを引き込むことも可能で、通常の住宅と遜色のない設備を整えられます。
一方、オフグリッド(独立型)の暮らしを志向する人は、コンポストトイレ雨水利用システム、ソーラーパネルを取り入れて、より自然に寄り添ったライフスタイルを実践しています。

ここまで見てみると、やはり一番は水回りをどこまで快適にできるのか、自分なりにあった生活レベルが送れるのかをしっかり見極める必要はありそうです。

タイニーハウスを手がける企業たち

タイニーハウスの魅力は、単なる「小さな家」では語り尽くせません。自分にとって本当に必要なモノ・空間・時間を見直し、“豊かさの再定義”を促してくれる暮らしの選択肢です。
そして、山梨県ではこの思想を形にする企業やプロジェクトが着実に増えてきています。

ここではタイニーハウスを提供している企業を勝手に2社ほど紹介します。

🏡 YADOKARI(ヤドカリ)

山梨県北杜市に拠点を構える《YADOKARI(ヤドカリ)》は、タイニーハウスを中心にしたコミュニティ型の暮らしを提案する企業。
タイニーハウスを「動かせる家」としてだけでなく、「新しいライフスタイルの拠点」として展開しており、モデルハウスやシェア型の実証フィールドも整備されています。特に「INSPIRATION CAMP」など、自然との共存をテーマにしたタイニーハウスは、仕事と余暇を両立した“遊ぶように暮らす”スタイルを体現しています。


🏡 Homemade Village(ホームメイドビレッジ)

Homemade Villageは、山梨県北杜市大泉町にある体験型の宿泊施設で、タイニーハウスを実際に体験することができます。畑や池など自然に囲まれた環境で、シンプルで自分らしい暮らしを体感できます。施設内には複数のタイニーハウスが建ち並び、宿泊を通じてその魅力を実感できます。

タイニーハウスを選ぶためのステップ

タイニーハウスに興味を持ったけれど、「どこから始めていいかわからない」「選ぶ際に気をつけるべきポイントは?」という声もよく聞きます。

ここでは、タイニーハウスを選ぶ際のステップを簡単に解説します。

1. 自分のライフスタイルを見つめ直す

タイニーハウスを選ぶ前に、まず自分の暮らし方を考えてみましょう。例えば、どれくらいの広さが必要か、どんな場所で暮らしたいか、オフグリッド生活に興味があるか、などの問いを自分に投げかけてみてください。後悔しない選択をするためにも、まずは自分の希望の暮らしを見直します。

2. 土地の選定と法的規制を確認

タイニーハウスを置く土地の選定は、非常に大切です。山梨のような自然豊かな場所は魅力的ですが、土地の購入や賃貸契約を結ぶ際には、建築基準法や自治体の規制を確認することが欠かせません。土地に適した建築基準や、タイニーハウスの設置が許可されるかどうかを確認しましょう。

3. 建設業者を選ぶ

タイニーハウスの建設業者を選ぶ際には、過去の実績やデザイン性、設計図の詳細をしっかりと確認しましょう。また、予算内でどこまで対応してもらえるかを確認することも大切です。
信頼できる業者を選ぶことが、快適なタイニーハウスライフの第一歩です。

4. インフラ整備の計画

タイニーハウスが移動式か固定式かによって、必要なインフラが異なります。上下水道や電気、ガスを引く場合には、地元の公共サービスと契約を結ぶ必要がありますし、オフグリッド生活を選ぶ場合は、太陽光発電や風力発電、雨水収集システムなどの準備が必要です。

5. 生活をシンプルにする準備

タイニーハウスに住むことは、物を減らし、シンプルに生活することを意味します。事前に持ち物の見直しを行い、必要最低限のものだけを選びましょう。タイニーハウスでは、効率的に空間を使うための工夫が重要です。

この5ステップを踏んだ後も、引越しや手続きなど細々した準備や行動は必要になります。
本当に自分がしたい暮らしがなんなのか、手間暇をかけてタイニーハウスに住む選択をするのか、しっかり考えて行動に移していきましょう。

おわりに

タイニーハウスは、物理的な豊かさではなく、心の豊かさを重視する選択のひとつと言える生活スタイルです。
タイニーハウスというシンプルな生活が教えてくれるのは、少ないもので幸せに暮らす方法です。
これからの生活が、少ないものでありながらも、心から満たされるものであることを願って。
自分にとっての豊かさを、自分の手のひらに取り戻すことができるような、そんな新しい暮らし方なのかもしれません。

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